東欧やコーカサスのソフトウェア会社に依頼する米国のスタートアップには、エンジニアリング以外にも確かめることがある。署名の前に、重なる勤務時間を取り決め、その会社を公的な登記簿で見つけ、制裁のスクリーニングをかけ、法的に執行できる紛争解決条項を選ぶ。
エレバンは、米国の夏時間のあいだはニューヨークより8時間進んでおり、冬は9時間進んでいる。ワルシャワは、一年の大半でニューヨークより6時間進んでいる。どちらの地域のソフトウェア会社に依頼する米国のスタートアップも、毎日その時差をまたいで働くことになる。だから最初の問いは、二つのチームの勤務時間が何時間重なるかだ。ほかの問いはその会社自体についてのもので、その多くは公的な記録と照らし合わせて確かめられる。
ここでは会社のランキングはしない。確認の項目は、最初のメールから最初の請求書まで、実際に出会う順に並べ、出典があるものには出典を添えた。このブログを発行している amBrain 自身もエレバンの会社であり、終わり近くに一つの節を割いている。
短い答え:その会社のチームと自社のチームが重なって働く時間を書面で取り決める。その会社を所在国の公的な登記簿で見つけ、会社とその所有者を米財務省の Sanctions List Search(制裁リスト検索)でスクリーニングする。仲裁条項については弁護士に相談する。仲裁判断はニューヨーク条約の対象となり、条約の定める条件の下で執行できるが、米国の裁判所の判決には、それを支える条約がないからだ。コードの譲渡は書面で受け、支払いは登記された会社自身の口座にだけ行う。
あわせて読みたい
あなたのスタートアップにとって良い会社とは、必要な種類のプロダクトをすでに作ったことがあり、下の確認を通る会社だ。プロダクトがすでに稼働している創業者や投資家に、どの会社を使ったかを尋ねる。上でリンクした、スタートアップのチームの選び方についての記事が、そうして集めた名前を三社の候補リストに絞る方法を説明している。
最初のメールで、各社に正式な法人名と登録番号を尋ねる。下で扱う登記、制裁、支払いの確認は、この二つの情報から始まる。
南コーカサスの国々であるアルメニア、ジョージア、アゼルバイジャンは、一年を通じて UTC+4 のままだ。ポーランドは冬が UTC+1、夏が UTC+2 で、ルーマニア、ブルガリア、モルドバ、ウクライナはそれよりさらに1時間進んでいる。カザフスタンは2024年3月1日から、UTC+5 の単一のタイムゾーンを使っている。米国は3月の第2日曜日に時計を進め、11月の第1日曜日に戻す。
ニューヨークが9:00のとき、各地の時刻は次のとおりだ:
サンフランシスコはニューヨークより3時間遅れているので、そこでの9:00はエレバンの20:00か21:00になる。上に挙げたヨーロッパの時刻は、3月の2〜3週間と、10月から11月に変わる頃の1週間だけずれる。一方が時計を切り替え、もう一方がまだ切り替えていない期間だ。その数週間は、ワルシャワ、ブカレスト、キーウとニューヨークの時差が1時間縮まる。
エレバンの午前9時から午後6時までの勤務日とニューヨークの勤務日は、米国の夏時間のあいだは1時間重なり、冬はまったく重ならない。ロンドンは、英国の夏はエレバンより3時間遅れ、冬は4時間遅れる。だからロンドンの勤務日は、夏はエレバンと6時間、冬は5時間重なる。
各社に、あなたのプロジェクトのエンジニアが、あなたのタイムゾーンで何時から何時までオンラインになるかを尋ね、その時間を契約書に書き込む。書面と通話でどの言語を使うのかも尋ね、署名の前にビデオ通話でその言語を話すのを聞いておく。質問と決定のために毎日決まった1時間を設け、それ以外はすべて書面でやり取りする。
会社から送られてきたリンクをたどるのではなく、その国の公的な登記簿を自分で開く。
アルメニアでは、司法省の法人国家登記庁が金融機関を除くすべての法人を登記しており、その登記簿は誰でも e-register.moj.am で検索できる。会社のページには、登録番号と登録日、納税者番号、ステータス、登記上の住所(アルメニア語で書かれていることがある)が表示される。ページからは、会社の実質的支配者、つまり最終的に会社を所有または支配している人と、そのあいだに入っている会社を記載した申告書にもリンクしている。公開ページには、誰が代表者なのかは表示されない。
ジョージアの国家公共登記庁にも公開の検索があり、その記録には会社を代表する権限を持つ人が記載されている。名前はジョージア語で記録されているので、会社から教えてもらえる識別コードで検索する。
ポーランドやルーマニアのような EU 加盟国の会社なら、欧州 e-Justice ポータル(European e-Justice Portal)で各国の商業登記簿をまとめて検索できる。欧州委員会は、これらの登記簿が「法的形態、所在地、法定代表者、年次決算書を含む、会社に関する情報」を保持していると説明している。ウクライナやカザフスタンのような別の国の会社なら、どの公的な登記簿に記録があるのかを尋ね、その登記簿のウェブサイトを自分で探す。
次に、登記簿の内容を、会社から聞いた話と照らし合わせる:
登記簿の記載は、エンジニアリングについては何も語らない。そちらの面は、エンジニアに会うことから会社の顧客に電話することまで、スタートアップのチームの選び方についての記事で扱っている。
答えは主に、紛争をどこで解決するかを定めた条項で決まる。紛争が会社に不利な決定で終わった場合、その決定は、会社の口座と財産がある場所、通常は会社自身の国で執行しなければならない。
米国務省によれば、判決の承認及び執行を対象とする条約で、米国とほかのいずれかの国とのあいだで発効しているものはない。したがって、米国の判決がアルメニアで頼れる条約はない。条約がない場合、外国の裁判所が米国の判決を執行するかどうかは「その外国の国内法と国際礼譲による」と国務省は書いている。つまり、その国の法律と、その国の裁判所が外国の判決をどこまで尊重するかによるということだ。
一方、仲裁判断には、それを支える条約がある。1958年のニューヨーク条約は、各締約国は条約の定める条件の下に「仲裁判断を拘束力のあるものとして承認し、かつ、……執行するものとする」と定めている。上の時差の比較に出てきた国はどれも、米国と英国を含め、この条約の172の締約国に入っている。
アルメニアは、この条約を、ほかの締約国、たとえば米国でなされた仲裁判断にのみ適用している。仲裁地、つまり仲裁の法的な所在地が条約の締約国にある仲裁条項について、弁護士に相談する。
制裁を所管する米財務省の部局である OFAC は、実施中の制裁プログラムの一覧を公開している。2026年9月の時点で、この一覧にはロシアとベラルーシのプログラムがあり、アルメニア、ジョージア、アゼルバイジャンのプログラムはなかった。プログラムのない国だからといって、その国のどの会社についても、制裁の対象でないことの証明にはならない。
2023年5月、米財務省は、米国の制裁措置が「アルメニア、中華人民共和国、トルコ、ウズベキスタンに拠点を置く企業を標的とした」と書いている。これらの企業は、ロシアの防衛産業のために外国製部品を調達する、制裁対象のロシア企業 Radioavtomatika のために部品を購入していた。会社と、その背後にいる人を確かめる:
三つのどれでも、プロダクトとコードを自分の手元に残すことはできる。所有権を決めるのは契約とコードが置かれている場所であり、三つの名前が表しているのは、誰がエンジニアを管理するかだ。
アウトソーシングでは、最初のバージョンのような仕事一式を会社に任せ、納品までは会社が自分の人員を管理する。専任チームでは、会社のエンジニアが月額料金であなたのプロダクトだけに取り組み、会社がその仕事を段取りし、あなたが優先順位を決める。アウトスタッフィングは三つの中で最も採用に近い。会社に雇用されたエンジニアがあなたのチームに加わり、あなたの側の技術リードのもとで働くからだ。
米国の著作権法では、著作権の移転は、書面により、かつ権利者またはその授権された代理人が署名したものでなければ効力を持たない(17 U.S.C. § 204(a))。だから、コードを自社に譲渡することを契約書に書き込む。コードリポジトリとクラウドアカウントは自社の名義で開設し、開発会社には、自社で無効にできるログインを渡す。
会社が譲渡できるのは、自らが持っている権利だけだ。あなたのプロジェクトの各エンジニアから、従業員であれ業務委託であれ、会社がどうやってその権利を得ているのかを尋ね、その条項を見せてもらう。
三つのどれを選ぶかは、誰が仕事を指揮するかで決まる。アウトスタッフィングは、毎日タスクを割り振ってコードをレビューする技術リードが、あなたの側にいることを前提にしている。自社にエンジニアがいないなら、作業開始前に画面とルールを書き出せる最初のバージョンにはアウトソーシングが合い、実際のユーザーが使い始めたら変わっていくプロダクトには専任チームが合う。どちらの場合も、独立した技術アドバイザーにお金を払い、会社の仕事をあなたの代わりにチェックしてもらう。
支払いは、契約を結んだ会社に対して、その会社名義の口座に行う。請求書に別の会社や個人口座が書かれていたら、お金を動かす前に手を止め、理由を尋ねる。第三国の銀行や、暗号資産での支払いを求められた場合も、同じように尋ねるべきだ。
銀行口座の情報が変わったときは、そのたびに、以前から知っている番号に電話をかけて確認する。FBI のインターネット犯罪苦情センター(Internet Crime Complaint Center)は、「口座情報の変更依頼を確認するために、別の連絡経路と二要素認証の一方または両方」を使うよう勧めている。
最初の支払いの前に、会社に IRS Form W-8BEN-E を求める。IRS によれば、この書式は、米国の源泉徴収と報告のために「外国の事業体が自らのステータスを証明するために使用する」ものだ。ほかに必要なものがあるかどうかは、会計士に確認する。
カザフスタンの創業者にとっても、上で挙げた登記、契約、コードの確認は同じように使える。契約を結んだ会社にだけ支払うことも同じだ。カザフスタンはアルメニアやジョージアより1時間進んでおり、両国と同じくニューヨーク条約の締約国だ。上で引用した米国の制裁規則は米国人(US person)に向けて書かれたもので、Form W-8BEN-E は米国の税務書式なので、どの規則が自社に適用されるのかは自分の弁護士に尋ねる。ブローカーのプラットフォームを作るなら、会社を選ぶ前に、そのプラットフォームにどんなライセンスが必要かを確かめる。ライセンスは初日から開発の形を決めるからだ。
amBrain は、アルメニア・エレバンのソフトウェアエンジニアリング企業である。トレーディング、FinTech、AdTech のリアルタイムシステムを構築し、立て直す。AI プロジェクトは業種を問わず引き受ける。AI 以外では、これらの分野の外の仕事は引き受けない。あなたのプロダクトが、AI を中核に持たない普通のウェブやモバイルのアプリなら、プロダクトスタジオのほうが合っている。
amBrain は2019年からソフトウェアを作っている。amBrain は、ある顧客のために、デマンドサイドプラットフォームである RTBBidder を構築した。
働き方には三つの形態がある。「フルデリバリー、専任チーム、あるいはあなたのチームに入るエンジニア」だ。所有権については、条件にこうある:「顧客は、プロダクトとコードの完全な所有権を保持する。ただし、私たちの再利用可能なコンポーネントは除く。」ほかのどの会社にもそうするように、署名の前に、そのコンポーネントを名前で列挙した一覧を amBrain に求めること。
現在のアーキテクチャと気になっている障害シナリオをお持ちください。30 分で一緒に確認します。