企業にカスタム AI を売る会社には六つの種類があり、それぞれ得意な仕事が違う。まず自社の問題を言葉にし、その仕事をする種類の会社を選ぶ。そのうえで、その会社が作って今も稼働しているシステムを一つ見せてもらう。
企業向けにカスタム AI ソリューションを構築する会社は、六つの種類に分かれる:AI コンサルティング会社、クラウド事業者とそのパートナー企業、プロダクトスタジオ、モデルを社内のデータやシステムにつなぐエンジニアリング会社、データサイエンスの会社、そしてフリーランサーである。それぞれがする仕事は違う。あなたに合う会社は解決したい問題によって決まるので、誰かに連絡する前に、その問題を言葉にしておく。
どのグループでも、ほとんどの会社が「カスタム AI」を作っていると言う。この言葉は、戦略をまとめた資料も、アプリに加えたチャットボットも、予測モデルも、1日に何千件もの契約書を読むシステムも指す。以下では、会社をする仕事ごとに分類し、ビジネス上の問題と対応させる。最後の節では、署名の前に確かめるべきことを扱う。
短い答え:問題を一文で書き、六つの種類の会社のうちどれがその仕事を日常的にしているかを見つける。次に、以下のチェックリストにある同じ五つの質問をその種類の会社数社に投げかけ、答えを並べて比べる。
「カスタム AI ソリューション」とは、今日ふつう何を意味するのか
今日の多くのビジネスプロジェクトでは、誰も新しいモデルを学習させない。会社は既存の言語モデルや標準的な機械学習の手法を使い、その周りの部分を作る。それらの部分が、モデルを自社の文書やデータ、そして社員がすでに使っているソフトウェアにつなぐ。
仕事そのものは、たいてい次のどれかの種類に当てはまる:
- 規程、契約書、製品マニュアルなど、自社の文書をもとに質問に答える。エンジニアはこれを検索拡張生成、つまり RAG と呼ぶ
- 請求書、保険金請求、銀行やブローカーからの通知など、さまざまな形式で届く文書を読み取り、自社のシステムが使える記録に変える
- 来月の需要、顧客が離れる確率、融資のリスクなど、過去のデータから数値やイエス・ノーの答えを予測する
- 文章作成の補助や、普通の言葉で書いた質問を理解する検索ボックスなど、顧客が使うプロダクトに AI 機能を加える
- データを社外に出せないので、自社が管理するサーバーで言語モデルを動かす
- オンライン広告のオークションのように、厳しい期限までに応答しなければならないシステムの中で判断を下す
種類ごとに必要なスキルは違う。一つの種類に強い会社が、別の種類を一度も本番に出したことがないこともある。
カスタム AI ソリューションを構築するのはどんな種類の会社か
以下の一覧は、会社を名前や順位ではなく、する仕事で分類している。各項目では、その種類の会社が得意なことと、尋ねるべきことを示す。
- AI コンサルティング会社や戦略コンサルティング会社は、AI を使う価値がどこにあるかを選び、ビジネスケースを書き、プログラムを計画するのを手伝う。その多くは、構築を別のチームに引き渡す。実際に構築するエンジニアに会わせてもらい、彼らが社員なのか下請けなのかを確かめる
- クラウド事業者とそのパートナー企業は、その事業者自身の AI サービスの上に構築する。たとえば Amazon Web Services は、2023年6月に AWS Generative AI Innovation Center を発表した。これは1億ドル規模のプログラムで、AWS 自身の AI スペシャリストが顧客と組んで生成 AI のプロジェクトに取り組む。この経路が合うのは、自社のシステムがすでにそのクラウド上にある場合だ。将来別の事業者に移るとしたら、設計のどの部分を作り直す必要があるかを尋ねる
- プロダクトスタジオはアプリを設計して作り、提供元の API を通じてモデルを呼び出すことで AI 機能を加えることが多い。合うのは、AI が新しいプロダクトの中の一つの機能である場合だ。提供元のサービスが遅いときや止まっているときにその機能がどう振る舞うのか、そしてその利用料を誰が払うのかを尋ねる
- あなたのシステムの内側で働くエンジニアリング会社は、モデルを自社の文書、データベース、社内ツールにつなぐ。典型的な仕事は、社内文書をまたいだ検索、受け取った文書からのデータ抽出、そして自社サーバーでのモデルの運用だ。合うのは、AI がすでにあるデータとソフトウェアを使わなければならない場合だ
- データサイエンスや機械学習の会社は、過去のデータから予測モデルを作る:予測、スコアリング、不正チェックなどだ。合うのは、答えが数値かカテゴリーで、何年分もの記録がある場合だ。データが変わったときにモデルをどう再学習させるのかを尋ねる
- フリーランサーが向いているのは、最初のプロトタイプや単発のスクリプトのように、一人で仕事をすべてこなせて、その結果を自分で確かめられる場合だ。契約が終わったとき、システムとそのドキュメントがどうなるのかを尋ねる
パッケージソフトウェアは七つ目の選択肢であり、最初に確かめる価値がある。定型的なサポートの問い合わせに答えるなど、多くの会社が同じ問題を抱えているなら、誰かにお金を払って作ってもらう前に、完成した製品を探す。
自社の問題に合うのはどの種類の会社か
問題から出発し、その仕事を日常的にしている種類の会社を見る:
- 「AI がどこで成果を生むのか分からない。」まずコンサルティング会社か社内レビューから始め、その結果は、タスクごとに担当者を明記した短いリストにとどめる
- 「社員が自社の文書を探すのに何時間も費やしている。」アクセス権限のルールを備えた文書検索を構築するエンジニアリング会社、または、文書が一つの共有ライブラリにまとまっているならパッケージ製品
- 「受け取った文書のデータを手で打ち直している。」文書からのデータ抽出を構築した実績があり、自社の文書のサンプルでエラー率を示せるエンジニアリング会社
- 「需要を予測したい、あるいはリスクをスコアリングしたい。」予測したい対象について整った過去の記録があるなら、データサイエンスの会社
- 「プロダクトに AI 機能が必要だ。」プロダクトスタジオ、あるいはエンジニアリング会社の支援を受けた自社のプロダクトチーム
- 「データを社外に出せない。」顧客自身のインフラの中にモデルを導入した実績のあるエンジニアリング会社
- 「うちは一つのクラウドにすべてを載せている。」そのクラウド事業者自身のチーム、またはそのパートナー企業の一つ
ほかの企業は、AI ベンダーを選ぶときに何を重視しているか
MIT NANDA の報告書「The GenAI Divide: State of AI in Business 2025」は2025年7月に公表され、52の組織の代表者へのインタビューに基づいている。著者たちは、買い手が AI ツールを評価する際に重視した点をテーマごとに分類した。ベンダーへの信頼、買い手の業務の流れへの深い理解、既存のツールへの影響を最小限に抑えること、明確なデータの境界が、いずれも挙がった。時間とともに改善していく能力と、状況が変わったときの柔軟性も挙がった。
これらのほとんどは、署名の前に試せる。あなたの仕事を理解している会社は、何かを提案する前に、業務プロセスについて細かい質問をする。データをどこに出してよいかは契約に書くべきことであり、公開後に会社が品質をどう測るべきかは、以下の確認項目が扱う。
契約の前に、AI 企業をどう確かめるか
ショートリストに載せたすべての会社に同じ依頼を送り、答えを並べて比べる:
- その会社が作り、今日、日常的に使われている AI システムを一つ見せてもらう。それが何をするのか、今誰が運用しているのか、どれくらいの頻度で誤った答えを出すのかを尋ねる。その会社自身のサンプルデータでのデモは数に入らない
- 最後に何を誰が所有するのかを明記してもらう。コードは分かりやすい部分だ。それらがなければシステムは動かないので、プロンプト(モデルが従う書面の指示)、モデルの設定、正しい答えの付いたテスト用の質問セット、そして自社のデータをシステムに流し込むスクリプトについても同じことを尋ねる
- 出力の品質をどう測るのかを説明してもらう。良い答えとは、自社の実際の例を集めてそれぞれに正しい答えを付けたセットを、構築の前に合意し、変更のたびに流し直すというものだ
- データがどこへ行くかを図にしてもらう。その図には、ログ、バックアップ、外部のモデル提供元を含め、データが移動したり保存されたりするすべての場所と、そのどれかがほかの顧客向けのモデルの学習に使われるかどうかが示されているべきだ
- 公開後に何が起きるかを説明してもらう。品質を誰が見るのか、誤った答えを誰が直すのか、そしてシステムが使っているモデルをモデル提供元が廃止したらどうなるのかを尋ねる。OpenAI と Anthropic はどちらも、廃止予定のモデルとその日付を一覧にしたページを公開している
AI 企業を選ぶときの危険信号は何か
- 誰もあなたの業務プロセスを見ないうちから、チャットボットや AI エージェントのような同じ答えが、どの問題にも出てくる
- 営業の打ち合わせに出てくる人たちはプロジェクトに参加せず、会社は誰が参加するのかを名指しできない
- その会社があなたの文書やデータで何も試していないうちから、精度が一つの数字で約束される
- メールを送る、記録を変更するなど、システムがほかのソフトウェアの中で操作を行うのに、人が承認するステップがない
- 契約がプロンプトとテスト用の質問について何も触れていないか、それらをその会社の財産として挙げている
- その会社の事例がパイロットとデモだけで、実際の社員や顧客が毎日使っているシステムが一つもない
amBrain はどこに位置づけられるか
amBrain は、顧客自身のインフラの中にプライベートな言語モデルを導入し、顧客がすでに運用しているシステムにつなぐ。amBrain は、企業自身の文書を対象とする検索拡張生成(RAG)のシステムを構築する。
amBrain が公に説明している言語モデルのプロジェクトは、次の一件だ:「私たちは、顧客の FinTech 環境の境界内で LLM の統合を本番稼働させた:ブローカーや取引施設から届く非構造化の通知 ― コーポレートアクション、銘柄や証拠金の変更 ― を抽出・正規化し、トレーディングシステムが取り込む構造化された記録にするものだ。」
amBrain の仕事には、オンライン広告という別の分野もある。amBrain はビッダー内部での ML 推論を構築する:オークションの時間枠内で、モデルが入札を決める。ビッダーとは、オンラインのオークションで広告枠にいくら提示するかを決めるシステムである。
amBrain は2019年からソフトウェアを作っている。チームについては一行でこう説明している:「最大40人のチームで、その約75%がシニア。」amBrain の働き方には三つの形態がある:フルデリバリー、専任チーム、あるいはあなたのチームに入るエンジニア。顧客は、amBrain の再利用可能なコンポーネントを除き、プロダクトとコードの完全な所有権を保持する。
解決したい問題が、自社の文書をもとに質問に答えることや、自社が管理するサーバーで言語モデルを動かすことなら、問題を一文で書いたものと、リストにあるほかのすべての会社に送るのと同じ五つの依頼を amBrain に送る。
よくある質問
- そもそもカスタム AI が必要なのか。いつもそうとは限らない。既存の製品がその仕事をこなし、データをどこに出してよいかについての自社のルールも満たすなら、買うほうが簡単な選択であることが多い。カスタムの開発が見合うのは、その仕事が、どの製品もカバーしない形で自社の文書、データ、システムに依存している場合だ
- その会社に自社専用のモデルを学習させるべきか。最初の段階では、まずない。学習に費用を払う前に、自社の文書と良い指示を与えた既存のモデルが、テスト用の質問でなぜ足りないのかをその会社に示してもらう
- カスタム AI ソリューションにはいくらかかり、どれくらいの期間がかかるのか。価格は、仕事の種類、AI が接続しなければならないシステムの数、データの状態、データをどこに出してよいかのルール、そして公開後に誰がシステムを運用するかによって変わる。各社に、書面の合格基準を付けた小さな第1フェーズの見積もりを出してもらう
- あとから会社を替えられるか。コード、プロンプト、テスト用の質問、運用手順を自社が所有し、システムがその会社のサーバーやライセンスキーに依存していなければ、替えられる。作業が始まる前に、そのことを契約に書いておく